「俺は…麗華が選ぶ方を受け入れるよ。だから…麗華が本当に望む方を選べばいい。俺の事は気にするな…」
これが俺の本心だとはとても言いきれない。
本当の事を言えばあの男の子供など産んで欲しくない…でも俺に選ぶ権利などない。
最終的に選ぶのは麗華自身だ。
だから俺は麗華の選ぶ方を受け入れるしかない…例えどんなに時間が掛かっても…
「…凌…ごめんね…っ…本当に…ごめんなさい…」
これから先もずっと麗華の傍に居てあの笑顔を見れるのだと俺は信じて疑わなかった。
ようやく手に入れかけていた幸せがこんなにも儚いものだなんて予想すらしなかった。
あの男の元を離れさえすれば麗華の涙をもう見る事は無いと簡単に思い込んでいた。
あの男が再び全てを奪おうとしている…その事に俺はまだ気付いていなかった。