「…麗華…?」




正体を確かめ様と見える範囲までゆっくりと近づいていくと、麗華は驚いた表情のままこちらを振り向いた。




「…っ…凌…」



今にも泣き崩れてしまいそうな麗華を支えながら近くのソファーに座った。




「麗華…落ち着いて。ゆっくり話してくれればいいから」




見るからに正気では無さそうな状態の麗華の肩を寄せてただお互い黙ったまま時間だけが過ぎていった。




その間中、麗華が出て来た診察室の扉に"産婦人科"と書かれてあった事が俺の心の奥にずっと引っ掛かっていた。




もし俺の見間違いでないとすれば考えられる事実はただ一つしかない。




けどそんな事実だけはどうしても聞きたくない。




…受け入れたくもない。





麗華の口からしっかりと聞くまでは―――…