汚れた天使














「…いや、本当に大した事無いですから。寧ろ…俺の方が謝るべきです。ほんと…すみませんでした」




オーナーがようやく顔を上げた後、今度は俺がオーナーに向かって頭を下げた。




確かに無理をしていないと言えば嘘になるが、迷惑をかけた側として謝るのは当然だ。





「今回の事に限らず、お前はいつもよく働き過ぎてるよ。少し休みを摂った方がいい」


「いや…でも…」




これだけの迷惑をかけておきながら甘える訳にはいかない。




けど断ろうとする俺の肩に手をのせてオーナーは穏やかな表情を浮かべていた。




「大丈夫、心配するな。このまま働き詰めていたら、今回の様に軽く済まなくなるぞ」





俺の為を思って掛けてくれたオーナーの言葉はとても有り難く、その一方で少し申し訳無さを感じながらも頷いた。




「…ありがとうございます」





オーナーへの感謝の気持ちを込めて俺は再び深く頭を下げた。




俺が店を休めば色々迷惑を被るはずなのにオーナーは俺の健康を尊重してくれた。




その事実をただ嬉しく感じていた。