暫くしてさっきの看護婦と一人の医者が病室の中に入ってきた。
「大分落ち着いた様ですね…大事に至らなくて何よりです」
医者は安堵の表情を浮かべながら俺の脇にある椅子に腰掛けた。
「実は…検査の結果、急性アルコール中毒だと分かりました」
「え…中毒?」
医者は資料を手に持ちながら険しい表情になっていく。
ただの疲労だと思っていた俺は中毒という言葉を聞いて少しの恐怖を感じた。
「はい…幸い大事には至りませんでしたが…今回のような大量のお酒は死に至る可能性もありますので、充分気をつけて下さい」
「すみません…これからは気をつけます」
診断結果は単なる酒の飲み過ぎによるアルコール中毒。
酒に慣れてない奴だったら死んでるかもしれないぐらいの大量の酒を飲んでいたらしい。
この世界に入ったばかりの奴は売上に必死になりすぎて自分の限界を超えている事に気付かずに…よく急性アルコール中毒になる。
俺はこの世界に入って既に数年経つし自分の限界も分かっているはずだった。
なのに今さら酒の飲み過ぎでぶっ倒れるとか…ダサいにも程がある。

