「凌…お願い。もう…優しくしないで…」




俺の言葉に振り向きもせずただ震えた声が静かな部屋に哀しく響いた。




「凌は…いつも味方になって助けてくれた。でも…あたしは凌に何もしてあげられない…だから…あたしなんかが傍に居ても迷惑なだけだよ…」


「…何もしなくていい。俺はただ…麗華の傍に居たい…」




後ろを向いたままの麗華の腕を引き寄せて…そのまま強く抱きしめた。




優しさとか同情でも無く…ただ麗華の傍に居て守り続けていたい。




例え麗華がそれを望まなくても…




今の俺には大切なものを守りたい…その強い意志がある。




嘘の言葉、優しさ…偽りの自分を捨てて真っ直ぐに麗華と向き合うから。





今までの俺には考えられ無かった事でも、今の俺なら出来る気がした。