麗華は俺の手を優しく掴んで黙ったまま…ただ首を横に振った。 「凌…ありがとう。凌が来てくれて…凄く嬉しかった…」 俺の手に暖かい涙がゆっくりと静かに伝っていった。 「でも…もうこれ以上迷惑は掛けられない…」 真っ直ぐに俺を見つめる瞳には溢れそうな程の涙が滲んでいた。 掴んでいた手を名残惜しげに離して俺の傍を離れていく麗華をただ黙って見送る事など出来なかった。 「迷惑なんて思ってねぇよ。だから…行くな…」 俺はただ離れて行こうとする麗華の腕を強く…強く掴んだ。