派手な歓楽街から少し車を走らせたビル街の外れにある高級ホテル。
フロントでその最上階の鍵を受け取って部屋に着いてすぐにシャワーを浴びた。
酒と香水の匂いが染み付いた体を全て綺麗に洗い流した。
シャワーを浴び終えて数分後。
―――――…ピーンポーン。
単音でいかにもホテルらしいチャイム音が部屋の中に静かに鳴り響いた。
「ごめんね、琉依くん。待たせちゃって…」
扉を開けた先に申し訳なさそうに瞳を伏せたまま外に立っている女をそっと部屋の中へ入れた。
「いや、俺の方こそごめん。急に呼び出して」
仕事の時と同じように嘘の表情を目の前にいる女に向けて謝った。
俺は仕事以外のどんな時であろうと完璧に自分を偽る。
そこには何も特別な意味など無くただ完璧に騙す為だけに。

