「三島さん」


蚊の鳴くような細い声がしてパソコンから目を上げると、隣りに岸谷さんが立っていた。


相変わらず白い顔はお人形さんのようだ。そばかすだらけの私の肌とは大違い。


「あ、はい。なんでしょう」


私がイスごと岸谷さんに体を向けると、


「三島さんの仕事、私が引き継ぐことになりました」


「…へ?」


「今、岩原さんから言われました」


・・・・・は、い?


「岸谷さんに、ですか?」


確か岸谷さんも私と同じくらいの数の課を担当していたはず。


岸谷さんは笑うしかない、みたいな顔で。でも、どこかはにかんでいるようにも見える笑顔で(美人ってお得)。


「私が引き継ぐみたいです」