作業着の上からコートを羽織るとさすがに着膨れした。だけど、気にしていられないとそのままマフラーを巻きつけて、更に耳当てまでして、私はロッカーを空にした。荷物を下げて階段を下る。


待ち合わせ指定場所にはすでに私以外の全員が揃っていて、成田さんが私が持っていた紙袋を持ってくれた。重さを確かめている成田さんに中身は体重計ですと話すと、


「えっ?なんで?」


と驚かれた。大人数で話しながら会社を出る。


いつもは一人で歩いて帰っていたこの道のりを、まさか最終日にこんな風に誰かと一緒に帰るだなんて、考えてもみなかった。正社員は定時で帰る人の方が少ないのだ。


話は途切れないまま、あっけないほどに簡単に会社の門を通り抜け、私たちは駐車場へ到着した。