◆
ハットリ君の言う通り、私の方が早く部屋に着いてしまった。
車の中で待っているように言われたけど、何となく外にいたかった。月がキレイだったから。
しばらくしてから自転車のブレーキの音が聞こえてきたので、空を見上げていた顔を正面に戻した。走ってくる足音が近付いてくる。
月明かりの中、現れた影が階段に腰を下ろしている私を見つけて立ち止まる。
「…咲さん? なんでこんな所にいんの?」
驚いたハットリ君が慌てて駆け寄ってきた。
私は立ち上がり、
「待ってたの。」
と、寒さでカチンコチンになっている頬を持ち上げながら、ぎこちなく笑った。


