担任に事情を説明して、あいつを病院へ連れて行く。
あいつは自分で歩いてはいるものの、ずっと手が小刻みに震えている。
「大丈夫、お前には俺がついてるから」
俺なんかがいても何も変わらないかもしれない。
それでもあいつを少しは安心させてやりたかった。
病院へ向かう車の中で、あいつが俺に母親のことを話してくれた。
父親が死んで以来、母親はショックから立ち直れないでいたらしい。
「ひとりじゃ生きていけない」
そうつぶやく母親に対して何もできない自分がもどかしくて。
とにかく自分が母親を守っていかなくてはいけないと思ったことから、周りに自然と壁をつくるようになっていた。
そしてその母親が自殺を図った。
大家さんが見つけて、あいつのところに連絡が来た。
ひとりなんかじゃないのに。
父親がいなくても、親子2人はしっかり生きているのに。
少しずつ話すあいつを見ていると苦しくなった。
俺にできること。
俺に何ができるだろうか。
今は一刻も早く母親に会わせてやりたかった。

