秘め事

赤ワインが喉を伝って体全体に行き渡るような感覚に襲われる。


アルコールを作った人は偉大だと思う。


まるで酔えば酔うほど無駄に被った殻を壊してくれる。



『何かあったの?』

「…綺麗なものを汚しそうだったの」

『アハハッッ!まるで俺がもう汚れないみないじゃないか』

「そうじゃない…聖也なら、免疫があるでしょ?」

『そうだね』



いつも妖艶な雰囲気を漂わせているけど、夜の聖也は一段と妖艶に見える。


赤ワインを持つ姿もとても様になっている。


私は一気にワインを飲み干した。


今はマナー通り香りを楽しみながら、チビチビと飲む気分にはなれなかった。


聖也は何も言わずにグラスにワインを注いでくれる。