蓮から体を離したはいいが顔が見れない。



「…ありがと」

『どう致しまして』



私の頭に手をのせクシャクシャする蓮。


妙に落ち着いた。


上を向き目が合うと蓮が笑ってくれた。


でも私は咄嗟に目を逸らしてしまった。



「仕事中になのにごめん」

『気にすんな!!』

「1人で帰れるからここまでで大丈夫」

『…分かった。気ぃつけてな』

「ん…」



スタジオを出た私は近くにいるかもしれない家族に会わないように、急いでタクシーに乗りこんだ。


血は繋がっていても本当に家族と呼べるのか疑わしいけど。