『送るよ』

「いいよ。そんなに遠くないし」

『愛莉が予定外に帰るっていうから暇になってしまったんだ。だから送らせてくれ』

「…しょうがないから送らせてあげる」



ククッっと笑い私の手を引き歩く聖也は、どこか楽しそうだった。


聖也の頭の中はきっと私なんかより複雑。


私と同じで大事な部分の感情は出さない人。


だから一緒にいて苦しくないのかもしれない。




『愛莉が帰るって言った時、男ができたのかと思ったよ』

「まさか。私の事を理解してくれる男なんていないよ」

『これだけ男がいるんだ。そんなの分からないじゃないか』

「…面倒くさい」

『ククッ一番の本音はそれだろ?』

「そうかもね」



私なんかより大人な聖也。


歳はまだ28歳なのに、一緒にいるともっと上に感じてしまう。


見た目はまだ二十半ばの様にも見えるが、中身がしっかりしているからかも。