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『準備出来た?』

「うん」

『それじゃあ行こうか』



聖也に手をひかれ、家を一緒に出た。


今から少し遅めの夕飯を食べに行く。


本当はもっと早く行くつもりだったけど、聖也の仕事が予定よりも遅くなってしまったのと、待ちくたびれて私が寝てしまったせいで遅くなってしまった。



『仕事が長引いてごめん。お腹空いただろ?』

「寝起きだからかまだ平気。私の方こそ寝ちゃってごめん」

『そんな状態で本当に焼き肉でいいの?』

「大丈夫だよ。今日はいっぱい食べて飲みたいの」



ぞくに言う暴飲暴食。


モヤモヤした気持ちを早く吹き飛ばすにはそれが一番だと思った。


聖也は気付かないフリをしてくれてるのかな…。



『そんなに見つめてどうしたんだい?』

「…車が似合うなと思って」

『クスクスッッありがとう』



聖也の事だから気付いているに違いない。


優しい聖也にすがって、優しい聖也を私は傷付けてる。