私は今パウダールームで化粧直しをしている。


泣きすぎてハンカチで押さえただけでは泣いた事がバレバレだったから。


テラスで待っててくれているお父さんの元へ急いで戻ると、知らない男性と話をしていた。



『愛莉』

『お前はこんな綺麗な子と来ていたのか。沙羅にバレたら怒られるぞ』



この人お母さんとも知り合いなんだ。



『アハハハッッ愛莉は私と沙羅の娘だよ』

『娘!?そんな話し聞いてないぞ』

『非公開だったからね』



お父さんの楽しそうな顔を見て、実は悪戯好きなんじゃないかと思った。



「あの…初めまして。愛莉と申します」

『俺は上川 要だ』

『要はこう見えて大手プロダクションの社長なんだよ』

『こう見えては余計だろうがよ』



二人のやり取りが面白くて笑いながら見ていると、上川さんは突然私の方を見てきた。


なんか…品定めされてるみたいで緊張する。