業界人が沢山いるパーティーだからか、聖也は色んな人に話しかけられている。


私は横で笑っているのにも疲れたから、テラスに出て風にあたっている。


程よい風が、お酒で火照った体を冷ましてくれる。



「気持ちいいなぁ…」

『愛莉』



聞き慣れている筈の声なのに、私は驚きのせいで肩が跳び跳ねてしまった。



「おとッッ……藤堂さん」



危ない…驚き過ぎて思わず"お父さん"って呼びそうになってしまった。


何故か悲しそうな顔をするお父さん。


どうしてそんな顔をするの?


悲しいのは私の方だよ…。


早く室内に戻ろう。


こんなところ誰かに見られて変な噂がたったら困るだろうし…。