聖也と会話はなく、車の中には音楽が流れているだけ。


もういい加減愛想付かされたかもしれないな。



「…怒らないの?」

『何に対して?』

「本当は学生寮にいなかったこと、とか…色々」

『そんな事は怒ってないよ。あんな状態のまま電話が繋がらなくなったことに怒ってる。本当に心配した』

「ごめん…」



そうだよね。


初めて電話してきたかと思ったら一方的に切って、電源入ってないんじゃ怒るよね。



『何があったのか無理矢理聞く気はないよ。話したくなったら話してくれればいい』

「…うん。ねぇ、聖也」

『何だい?』

「まだ思ってくれてるならなんだけど…」

『うん』

「一緒に…住んでもいい?」



聖也は微笑んで『もちろん』と言ってくれた。


聖也の笑顔を見たら、何故か涙が零れ落ち私は急いで顔を手で覆った。


そんな私の頭を聖也はハンドルを持っていない手で、優しく撫でてくれた。