そんなことを考えながら
電車に揺られること15分。

あたしは慣れきった1人で
学校ヘ向かう。

確かにまだ寂しさはあるけど
もうあたしは颯を求めてはいない。


ただあるのは
もう過去ではなく
思い出にしたいという願い。


あたしは今日も1番に
教室へと入った。


「はよ」

「はよ、じゃないわよ。あたしの席だし」


つもり、だった。

あたしの席に陽翔が座っていた。

しかもあたしは4組で
陽翔は5組なのに…。


「待ってた」


そう言うと陽翔は微笑んだ。


何が待ってただ、馬鹿。

とは思うがなぜか顔が熱くなり
言葉を出すことさえできなかった。


待ってた、なんて。

颯からしか
言われたことなかったのに。