「ぅらっ!」


陽翔はそう言うと
あたしの両頬を軽く抓った。


「な!?」

「ただ俺の気持ち伝えたかっただけだから。俺の独り言だったとでも思っていいから」


陽翔はいつもの笑顔で言う。

抓っていた頬を放した。


何だか真剣に考えたあたしが
馬鹿みたいじゃん。


陽翔は駅へと歩きだした。

あたしはその背中を追いかける。


「マジだからな、さっき言ったこと」


彼は背を向けて軽く言った。

くっそお、そんなに
サラッと言うなよな!
こっちはいちいち
反応するんだよっ!!

という思いを込めて
陽翔の背中におもいっきり
ドゴッ、とパンチを喰らわせてやった。


「いってぇ!」


痛い?

そりゃ痛くやったんだから
当たり前だ、あほ。