「浮かなかない顔してんね。彼氏と喧嘩でも?」
「彼氏なんかいないです」
この人といると
あたし人見知りなはずなのに
どんどん言葉がでてくる。
不思議。
「あ、いないんだ?意外だわ」
「そんなの、作る気ありませんから」
「言うね~」
そう言うと彼はまらボールを手に
練習をし始めた。
あたしは長い間
邪魔するのも悪いと思い
体育館をそっと抜け出した。
五十嵐先輩は集中していて
気づいていない。
まあ、いいや。
と、校舎への渡り廊下を
渡ろうとすると
「もしよかったらまた来ていいから!俺、ひとりで朝練も寂しいし」
体育館の入り口から
五十嵐先輩がそう叫ぶように
明快に言った。

