【奈緒side】

 海原空我…。私の中学時代の彼氏。
 空我とはちゃんと別れを告げて別れたはず…。高校に進学するからまぁ私から「別れよう」って言ったんだけど…。まだ空我が好きでいたなんて全然考えてもなかった。

 空我が文化祭に来たせいで海翔を怒らせてしまった…。
 「コイツみたいのが今もタイプなのか」って聞かれた時、私は直ぐ答えられなかった…。
 「今は海翔が好きなんだよ」そう言えば海翔も喜んでくれたんだろうけど…あのタイミングでは恥ずかしすぎて言えるはずない。
 あぁ、こうゆう時可愛い子はちゃんと言えるんだろうけど…。どうしよ…。私達別れる事になんてならないよね…?

「奈緒。良かったじゃん。あんなヤツと別れる事が出来て」

 はぁ? 何言ってるの!? 別れてないもん!!!

「違うもん…。別れてない…もん」
「いい加減自分のしてる事がどんなに奈緒をダメにしてるか分かってるの?」
「海翔は私をダメになんかしてない!」

 そう…。海翔は私をダメにした覚えは一度もない。だっていつだって私の事考えていてくれて大切にしてくれてる…。何より海翔1番なの。なのに…。

「気付きなよ!! 奈緒は中学から医学系の仕事がしたいって言ってたじゃないか! あんなヤツと一緒にいたら学力だって落ちるはず! 俺となら医学の勉強して一緒に就職して幸せな家庭が築ける! だからっ…」

「やめてよ!!! 私が誰と付き合おうが空我には関係ない! 私がっ…私が一緒にいたいのは空我じゃない! 海翔なのっ!!」

 そう。私が一緒にいたいのは空我じゃなくて海翔。今も未来も…。

 そう思うと自然に体が動き海翔の歩いて行った方へ走って行った。

「奈緒っ!」

 私の後を空我が追いかけてきた。
 しかし私は今までにない速さで廊下をかけて行った。
 文化祭で人が沢山いるのに皆が避けてくれるように…。そして後ろの空我が何度も私の名前を呼ぶけど足は止まらず、ついに空我の姿が人込みに埋もれていった。