元カレ…。おい、聞いてねぇぞ。奈緒中学の時、コイツみたいな頭良さそうなのが好きだったのか?
 ってか何で今いるんだよ! より戻しに来たって事…だろうな。は? ざけんなし!!

「聞いて…ねぇぞ」
「か、海翔?」
「何で言わねぇんだよ! なぁ、奈緒!!」
「ご、ごめん…」
「奈緒に当るのは可笑しいと思うよ? 海翔君」
「気安く呼ぶなっ!」
「か、海翔、ごめんね。海翔に余計な心配させたくなくて…」
「余計な心配? はぁ? ふざけんなよ」
「海翔…ごめん」
「奈緒は悪くないよ? 俺のタイミングが悪かったみたいだね」
「でもっ…」
「奈緒は…コイツみたいなのが今もタイプなのか」
「えっ! えっとー…」
「フッ…。答えられないのかよ…。勝手にコイツとでもより戻しとけよ」
「海翔! 待ってよ! 違うんだってば」
「うるせぇ! ついてくんじゃねぇよ!」
「海翔…うっ…違うんだってば…ぐずっ…」

 後ろで奈緒が泣き崩れたのを感じた。だけど、俺の足は止まろうとしない。
 可笑しい…。今の俺は可笑しい。奈緒に当ってどうするんだよ。元々は海原ってヤツが奈緒とより戻したいって言ってる事にイラついてるのに奈緒は関係ない。
 終わってしまうのか…。嫌だ。自分でした事を今更後悔している。こうなるなら、もっと奈緒と一緒にいたかった。でも、もう遅かった…。