【海翔side】

 ~午後の部~

 午前の部も無事に終わり、俺は着替えてる。


「海翔ー、お前奈緒ちゃんのとこに行くんだろ?」
「あぁ、お前も行くだろ?」
「あぁ行くぜ、どうせ男1人でメイド喫茶はキツいだろうし」

 そりゃそうだ。1人でメイド喫茶はキツいだろ。

「お帰りなさいませ…。ご主人様…」
「…」
「…」

 俺も希一も言葉が出なかった。理由は、このやる気のない言い方のしたメイドは奈緒だったから。

「な…奈緒ちゃん…可愛すぎる~!!」
「ちょっ、希一君抱きつかないで…」

 可愛い…。今すぐさらいたい。ダメだ! 理性を失うな、俺!

「希一、いつまで抱き付いてるつもりだ?」
「えっ…? ず、ずっーと?」
「いいから離れようか? 希一君?」
「…はい」
「海翔? どう?」
「どうって…?」
「メイド服」
「あぁ…うん」
「何それ」

 俺は希一に聞きたくれない一心で奈緒の肩に手を置いて耳元近くで喋った。

「可愛い。今すぐさらいたいぐらいに…」
「なっ/////」
「フッ…」

 顔を直ぐに真っ赤にする仕草に一段と胸が高鳴る。

「奈緒?」
「ん?」

 俺は奈緒にキスをしようとした寸前。

「奈緒っ!!」
「えっ?」

 俺の後ろには俺と余り対して変わらない背の男がいた。

「奈緒! 会いたかった」
「!?」
「ちょっと! 離してよ!」

 その男は奈緒に思いっ切り抱き付いた。

 はっ? 何してんだアイツ。

 俺はキレそうな思いを抑えて奈緒の肩を抱いて「俺の物」の様に、その男に見せつけた。

「コイツ、俺のなんだけど…」
「海翔…/////」
「へぇ…奈緒って中学の時とタイプ変わったんだね」
「はぁ?」
「アンタ、不良でしょ?」
「だったら何かあんのかよ」
「奈緒やめなよ。こんなの奈緒らしくない。奈緒は不良なんかと付き合う様な女じゃない」
「あぁ?」

 何だコイツ…。何なんだよ! すんげぇムカつく。奈緒の何なんだよコイツは!

「奈緒、俺のもとに帰って来ないか? 俺、奈緒のタイプにも近くなった。少なくてもコイツなんかより良い」
「はぁ? ってかオメェは何なんだよ!」
「俺? 俺は海原空我です。奈緒の元カレってことかな」