仁南さんは涙1筋流して走って行ってしまった。

「…悪かった。不安だったよな…。辛い思いさせてゴメン…」

 私は首を横に振った。

「俺…奈緒じゃねぇとダメなんだ…。俺が、こんなだからお前を守ってやれなかったし、傍にいてやれなかった。ほんとゴメン…」

 いつも強気で、すごいオーラなのに、こんな弱々しい海翔を初めてみた。

「そんな事ないよ…。確かに仁南さんとイチャついてるのを見てた時は辛かったけど…か、海翔が…ヒック、私を…きっ、気にしてくれてた…のを…知ってたからぁ…」

 海翔の言葉が暖か過ぎて涙が止まらなかった。

 ギュッ。再び海翔に抱きしめられた。

「マジで悪い。…大好きだ、奈緒…」
「わ、私も好き…」

 そのままの流れでキスをした。いつも優しくて甘い海翔のキスだけど、いつもより優しくて甘いキスだった。

「なぁ…」
「ん?」
「…シたい…」
「/////!?」
「ダメか…?」

 か、可愛い!! 海翔のキュン顔にキュン死しそう。

「おい、聞いてんのかよ!?」
「えっ!」
「シていいのか、ダメなのか答えろよ」
「/////…ぃぃょ」
「あぁ? 聞こえねぇ」
「いいよ」

 海翔は得意げに鼻で笑った。

 ヒョイ。そして私をお姫様抱っこした。

「ちょっ!? どこ行くの!?」
「部屋だけど…」
「えっ…あ、部屋」
「んだよ。外でシたかったのか? エロいな奈緒は」
「ち、違うから!!」

 あぁー、恥ずかしい! そう言う意味じゃなかったのにー!
 私は海翔の頭をぺシぺシ叩いた。

「悪かったって。ったく、暴れんなよ」
「ご、ごめん…」

 私、海翔を好きになってよかったな。相手が海翔じゃなくちゃ、こんな事耐えられなかったんだろうな。
 そうなると…仁南さんの事ちょっと気になるな。仁南さんも、カッコよくて優しい海翔に惚れたんだろうな。気持ちは分かる。でも私は、海翔の外見だけじゃなくて内面を知って好きになったの。仁南さんとは、ちょっと違う。だから譲れない。

 そう決心をした時には部屋についていた。

「…んっ/////」

 海翔はさっきより優しくて甘いキスをした。今にも溶けてしまいそうな…そんなキスだった。