【海翔side】
 
 放課後俺は友達の伊野原希一とカラオケに行ってた。
 奈緒は先 帰っちまうし…。
 ってか、さっきは、あんな事で泣くなんて可愛すぎじゃねぇの。
 この俺も奈緒には逆らえないし。

「なぁなぁ、海翔」
 
 希一が話しかけてきた。

「んだよ」
「奈緒ちゃんだっけ? どう?」
 
 どうって何が言いたいんだよ。

「どうって?」
「可愛い? 性格は? どこまでいった?」
 
 質問多っ!!
 可愛いって何だよ。希一、狙ってる訳か?

「…お前に言う必要あんのかよ?」
「良いじゃんかよ! で、どこまでだよ」
 
 マジかよ…。言わねぇとコイツしつこいし…。
 よし、引かれるの覚悟で!

「…キス…だけど…?」
「えぇーーーーー!!! マジかよっ!!」
 
 キィーーーン。マイクを持って話してたから、めっちゃうるさくなった。

「うっせーよ!!! 鼓膜破れるじゃねぇかよ!!」
「あ…わりぃ、わりぃ」
 
 コイツ、謝る気ねぇな。

「マジで、シてねぇのかよ!?」
 
 しつこいし…。

「そうだって言ってんじゃん!」
「…お前的には、もってんのかよ!?」
「分かんねぇ…」
 
 正直キツい。かと言って無理矢理倒してヤって奈緒に嫌われたら、そこで終わるし…。

「今度の日曜、お前ん家、連れ込んでヤレば良いんじゃねぇ?」

 はぁ?お前、何考えてんだし! んなことしたら…
 俺の心を読んだのか、希一は

「んな、平気だよ。奈緒ちゃんを一番に想ってることを伝えれば…多分」
 
 多分かよっ!!

「拒まれたら、奈緒ちゃんが良いって言うまで、もうちょっと待っててやれよ。な!」
 
 お前、誰に言ってるだよ!
 まぁ、そうだな。日曜、俺ん家に誘ってみるか!

「…おう。」
「よしよし! 頑張れよ。海翔」