「大丈夫? 奈緒ちゃん」
「あ、ありがと、希一君」
「どういたしまして、行こう」
「うん」

 4人は無事、新幹線に間に合った。
 3人はぐっすり寝ていた。しかも、俺の膝にある顔は奈緒じゃない。あの女。仁南の顔。なんで、この女の顔があんだよ!? お前、希一の女じゃあねぇのかよ?奈緒は奈緒で、希一と仲良く居眠り中。
 さっきも、奈緒の事、助けられなかった。俺は自分の女も守れねぇのかよ…。情けねぇ。奈緒…、お前に触れたい。まぁ、旅館では2人きりだろう。
 そう、思っていた俺はバカだった。これから、奈緒を苦しめるなんて思ってもなかった…。