【海翔side】

 待ちに待った、この日がやってきた。
 本当は奈緒と2人きりが良かったんだけど、希一が折角持ち上げた企画だ。
 まぁ、奈緒といれれば何でもいいか。

「ごめーん。海翔、待った?」

 と言って白いワンピースをヒラヒラ揺らしながら小走りで走ってくる奈緒。
 やべぇ。超可愛い。

「あぁ。大丈夫だ」
「希一君達とはどこで待ち合わせ?」
「地元の駅だ」
「そっか。じゃあ行こう?」
「あぁ」

 希一達とは地元の駅で待ち合わせして、そこから新幹線で熱海まで行く。

「ねぇ、海翔…?」
「ん?」
「あの…その…」

 んだよ。何が言いたいんだよ。ちょっと顔が赤い奈緒が、さっきから俺の空いてる手をずっと見ている。あぁ、そうか手繋ぎたいんだな。

「ん」

 と言って手を差し出した。

「えっ?」
「んだよ。繋ぎたくねぇのかよ」
「ううん」

 と言って奈緒は素直に指を絡ませた。
 そんな2人の甘い時間は直ぐに過ぎて地元の駅に着いた。

「おぉー! 海翔、奈緒ちゃん、こっちこっち!」

 朝から元気な希一、両手を大きく振ってる。その隣には、夏だからか、焼いた黒い肌に濃いピンク色のキャミソールを着てる超ギャルって感じの希一の女がいた。

「おぉ。待たせたな」
「いや、俺達も今さっき来たばかりだ」
「そっか」
「あ、コイツ、俺の女。知原仁南って言うんだ」
「あ、どーも。ってか、これが希一が言ってた海翔って人ー? 超カッコいいんじゃん!」

 あぁ? 何だ、この女は!? 軽くねっ?

「俺、浅川海翔。コイツは俺の女の田辺奈緒」
「初めまして、田辺奈緒です」

 一瞬、仁南は奈緒をギロッと睨んだ。でも直ぐ笑顔で

「よろしくねぇ☆ 奈緒ちゃん! 奈緒ちゃんは海翔君みたいな彼氏が出来て良いね」

 と言った。この女、気に食わねぇ。希一、こんな女のどこが良いんだか…。

「ところで…他のヤツらは?」
「それが…皆、この時期、色々あんだって。そんで来れねぇらしいわ」
「じゃあ…俺たち4人って訳か」
「そうなる」