井上真緒編

次の日の朝は月曜日だった。真緒は、土日の休みでなんとか、体力を持ち直したが、決して調子がいいというわけではなかった。基本的には、チアキが出て行かなくては、以前のようにはならないのだろう。母も貧乏神がいなくなれば以前のようになるといっていた。なんとか気力を振り絞って、起きあがって、出社の準備をした。寝室を出ると、いつものようにチアキがいたが、げっそりしていてぴくりともしなかった。食事をしたい気分ではなかったが、とりあえずパンとチーズとハムを食べた。最近は、朝はいつもこういったものだった。作る気力がなかったので、簡単に食べられるものを用意していた。会社に行くと、チリ子がいたが、この間真緒がとった態度が気になったのか、いつものようには、話しかけては来なかった。ただ、休憩をとったときに、トイレに立った真緒についてきた。真緒は、いろいろあって、チリ子にどういった態度をとるべきなのかというのは、今でも分からなかった。同じ職場なのだから、気まずくしたくないと割り切ることもできるかもしれないが、小倉との関係をただ、ああそうだったんだですませるほど人間はできてないと思った。ただ、トイレから出てきて、誰もいない喫煙室の先の窓越しの通路で話しをした。