「なに・・?」
「あれを見てみな。」
今もまだ、
啜り泣きが聞こえてくるあの
病室の方向に彼女の体を向け、
俺は手の平を一度、麻美の
目の前にスッと下ろして見せた。
「本職のお出ましさ」
「え・・・!? あ・・!」
死神装束の者が大ガマを肩に掛け、
中年女性の手を取って
病室から出て来た。
ネグリジェ姿の女性の形をした
魂は麻美に向けて慎ましやかに
淋しげな笑みを浮かべ会釈する。
彼女も思わず頭を垂れたが、
顔を上げてはっと息を飲んだ。
「・・・消えた。」
「ああ、逝っちまったんだ。
脚が悪かったから・・
ゆっくりだったんだろうよ。」
麻美はマジマジと俺の顔を見る。
やっと疑問に思ったんだ。
なぜ、本職が自分の元には
来なかったのか。
なぜ、俺だったのか。
「それは・・運命を変えられる
かも知れないって事?」
「何だって可能性はゼロじゃねえ。
無罪判決とか、奇跡の生還とか?」
そう云う覆しをやって来たのは
お前たち"人間"だっただろう・・?
彼女の表情は真剣そのもので
何か、他に聞こうとして躊躇う
口を開けてはまた閉じ、
思い留まっている様子だった。
それは恐らく・・
俺を疑う問いだったのではないか?
「あれを見てみな。」
今もまだ、
啜り泣きが聞こえてくるあの
病室の方向に彼女の体を向け、
俺は手の平を一度、麻美の
目の前にスッと下ろして見せた。
「本職のお出ましさ」
「え・・・!? あ・・!」
死神装束の者が大ガマを肩に掛け、
中年女性の手を取って
病室から出て来た。
ネグリジェ姿の女性の形をした
魂は麻美に向けて慎ましやかに
淋しげな笑みを浮かべ会釈する。
彼女も思わず頭を垂れたが、
顔を上げてはっと息を飲んだ。
「・・・消えた。」
「ああ、逝っちまったんだ。
脚が悪かったから・・
ゆっくりだったんだろうよ。」
麻美はマジマジと俺の顔を見る。
やっと疑問に思ったんだ。
なぜ、本職が自分の元には
来なかったのか。
なぜ、俺だったのか。
「それは・・運命を変えられる
かも知れないって事?」
「何だって可能性はゼロじゃねえ。
無罪判決とか、奇跡の生還とか?」
そう云う覆しをやって来たのは
お前たち"人間"だっただろう・・?
彼女の表情は真剣そのもので
何か、他に聞こうとして躊躇う
口を開けてはまた閉じ、
思い留まっている様子だった。
それは恐らく・・
俺を疑う問いだったのではないか?

