嫌に慌しく、廊下を早足にやって
来た1人のナースがバタバタと
麻美の病室に入って行った。
「院長、よろしいでしょうか。」
他の患者に不安を与えないよう、
そう云うに留めている。
オッサンは麻美に、
「いい調子でいけてるからね」
そう微笑んで言い残し、全員を
引き連れて部屋を出ると
呼びに来たナースと共に三つ隣の
病室へとゾロゾロ雪崩れ込む。
あの部屋には確か、"危ない"と
云われる患者がいた。
術後、再入院してきた
四十代の女性の患者だった。
「いゃゃゃゃやややあ!!!」
ドアを突き破るかの若い女の声。
昨日から付き添っていた娘の
・・・悲鳴だった。
サイレンの様に響き渡る
野獣にも似た激しい泣き声は
多分、この階のどの部屋にも
届いているだろう。
「麻美」
彼女の病室に戻ると案の状、
ベッドの上で耳を塞ぎ目を瞑って。
病院側の不手際に腹が立つ・・。
気を使うなら、徹底的に
気を使って欲しいモンだ。
今、ベッドの上で震えて
泣いてる女の傍らに
腰を降ろし抱き締めてやる事しか
出来ない俺の身にもなってくれ。
尚も続く声に耐え切れず
俺の胸に顔を埋めて呟いた。
「UT・・あの人・・?」
同じような病気だったって事は
彼女も知っている。
"ああ"・・俺はそう答えると
ピクリと揺れた背中を
摩ってやっていた。
「なあ・・? ・・確かに、
そう云う運命だって奴もいるさ。
だけどな、例え人生が短くとも
"やり直し"って言葉には背を向けるな。」
「そんな事・・。」
「それを諦めちまったら、
もう何の可能性も途絶えちまう。
そんなヤツには
奇跡だって起こりゃしねえンだ。」
「・・・・・・。」
"信じてみろ"
俺は彼女の耳元で小さく囁いてみる。
さすがに頷きはしない。
ただ腕の中悲しそうに
涙の止まった目を閉じたままだ。
来た1人のナースがバタバタと
麻美の病室に入って行った。
「院長、よろしいでしょうか。」
他の患者に不安を与えないよう、
そう云うに留めている。
オッサンは麻美に、
「いい調子でいけてるからね」
そう微笑んで言い残し、全員を
引き連れて部屋を出ると
呼びに来たナースと共に三つ隣の
病室へとゾロゾロ雪崩れ込む。
あの部屋には確か、"危ない"と
云われる患者がいた。
術後、再入院してきた
四十代の女性の患者だった。
「いゃゃゃゃやややあ!!!」
ドアを突き破るかの若い女の声。
昨日から付き添っていた娘の
・・・悲鳴だった。
サイレンの様に響き渡る
野獣にも似た激しい泣き声は
多分、この階のどの部屋にも
届いているだろう。
「麻美」
彼女の病室に戻ると案の状、
ベッドの上で耳を塞ぎ目を瞑って。
病院側の不手際に腹が立つ・・。
気を使うなら、徹底的に
気を使って欲しいモンだ。
今、ベッドの上で震えて
泣いてる女の傍らに
腰を降ろし抱き締めてやる事しか
出来ない俺の身にもなってくれ。
尚も続く声に耐え切れず
俺の胸に顔を埋めて呟いた。
「UT・・あの人・・?」
同じような病気だったって事は
彼女も知っている。
"ああ"・・俺はそう答えると
ピクリと揺れた背中を
摩ってやっていた。
「なあ・・? ・・確かに、
そう云う運命だって奴もいるさ。
だけどな、例え人生が短くとも
"やり直し"って言葉には背を向けるな。」
「そんな事・・。」
「それを諦めちまったら、
もう何の可能性も途絶えちまう。
そんなヤツには
奇跡だって起こりゃしねえンだ。」
「・・・・・・。」
"信じてみろ"
俺は彼女の耳元で小さく囁いてみる。
さすがに頷きはしない。
ただ腕の中悲しそうに
涙の止まった目を閉じたままだ。

