俺は哀れむ視線を向けない様に
手帳を出して開いていた。
そしてツイでの様に言葉を吐く。

「原因その①、生きる気力もねえ
その②、他力本願で我侭だ
その③、口や脚は直ぐ開くクセに
心だけは閉ざしてやがる・・以上。」

「売女みたいに云わないで・・。」

「それに"殺して"だの、
"見捨てるな"だの・・ドッチだ?
本心すら隠す奴を助けられるか。」

マッタクダ・・バカ云ってやがる。

パフッと手帳を閉じて直すと
イヤにツルツル
光だした氷の上の女に手を上げた。

ワザと唇を突き出し、
小首を傾げておどけて見せる。

「この暖かさだ。ランチはアッチ
で食べる事になりそうだな?
じゃ、俺はそろそろ行くから。バイ」

「待って・・・!」

女は、か細い声を振り絞って
姿を消した俺に手を伸ばしたとか。

縦揺れする氷の板の上、
最後に何を思ったんだろうな?