俺は火災を報せるベルが
鳴り続ける中、ドサクサに紛れ
ライターで煙草に火を着けてる。

今なら
煙が見えても怪しまれないだろ?

醜態を曝し続ける
ヘタレ医者をポカンと眺めてた
あの女の肩をすれ違いに叩く。

「アイツ、ちゃんとお前に"お粗末様"
ってワビ入れたンだろうな? フフッ」

「・・・。」


・・笑いたいけど、泣きそうに
なってる顔で俺を見上げやがる。

止せ・・! 俺はその、
いたいけな子犬の様な目に弱い。

あァ・・、クソ・・。 思い出す・・。


「・・手ェ出せ、記念品にやるよ。」

「・・何、これ? ・・ノズル?」

「ソ!ピンポイトじゃツマんねェし。」

マァ、全治1ヶ月以上は固ェぜ。
その後、この病院で働くかどうか。


「じゃ・・、またな。」

俺はそのまま後ろ手を上げ、
そのチン事件現場を後にした。