常人では聞こえない話声や
ドアの向こうが時折スケて見える。

苦しむほど俺はデリケートじゃ
ねえけど・・正直、不快だった。

女の井戸端会議を聞きながら
壁にもたれて病室での情事が
終わるのを待つしかねえのか。

ガラっ・・!

「シー、モドッテクル!」

フン・・出て来やがった。
個室をいい事に何考えてやがる。

顔を見てやろう・・。

ヘエ、意外と若い医者だな。
だからって患者を性の奴隷か?

スマした顔しやがって。

クロブチの眼鏡に冴えない容貌。
医者じゃなけりゃ
アキバのヲタクと変わらねえな。

・・フッ、コイツも俺を素通りだ。
こう云うのに限って長生きする。

エロ医者を睨み見下ろしながら
入れ違う様にドアを潜って行く。

「クセエ! ・・お疲れさん。」

「・・・・誰だっけ?」

入って来て直ぐ窓を開け放った
俺へ、女は天井からゆっくりと
視線を移している。

逆上せた様な恍惚なまんまでな。