「(不味いな・・・思った以上に重症だ)」
躍動感のあるイルカのショーを眺めながらも、意識は自然とすぐ側に座っている彼女の方に釘付けな俺。
目の前で跳ねたり泳いだりしているイルカを見詰める瞳はキラキラと輝いていて、その様子から目を離せないでいる。

「(やはり、好きだ)」
これ程に惹かれたのは久しぶりで、少し戸惑う。何より、

「(これで最後になるかもしれないのだな・・・)」

―――だから、

「(せめて・・・楽しい1日にしよう。)」

―――悔いの無いように。