亜梨紗のお母さんに夕飯を誘われたけど、私は帰ることにした。



《うちでもお母さんが作ってるだろうし、それに…》

チラッと亜梨紗のお兄さんを見る。


《うん、やっぱり亜梨紗と食べたいって顔してる。》

学校でも噂の、亜梨紗のお兄さん。


噂通り、亜梨紗を愛してやまない……って感じ。


私は亜梨紗のお母さんに再度断って、帰る仕度を始めた。


亜梨紗のお母さんは寂しそうな顔をしながらも、お兄さんを連れて下に降りていく。


ファイルを鞄に詰めると

「…つばさ、ごめんなさい。」


亜梨紗が謝ってきた。

「へ?」


「お兄ちゃんがあんな失礼なこと…」