放心状態…?

俺は亜梨紗がやったように、つばさの前で手を振る。


…反応がない。

「つばさっ」

パンっと目の前で手を叩くと、つばさはハッとして辺りをキョロキョロ見回した。


「もしかして…また?」


「うん、つばさってばまた放心状態になってたよー」


「ったく…ホラー苦手ならそう言えよな」


「言っても再生してたでしょ?」


「あ、バレた?でも放心状態になるくらいヒドいとは思ってなかったさ」

俺は停止ボタンを押してからDVDを取り出した。


「京平さんって本当に意地が悪い…」


「こんなのまだまだ序の口だぞ。たまに俺より亜梨紗の方がたち悪かったりするからな。」


「あー…そうかも」


「ちょっと!!二人して何言ってるの!?」

亜梨紗が頬を膨らませて抗議する。


その姿が可愛すぎて、迫力なんて微塵もない。


つばさも同じことを感じているのか、笑っていた。