「あのさ…」

仁美が口を開こうとした時


ピピピピピピピピ


ケータイのアラーム音が響いた。

仁美はケータイを取り出してそれを止める。


「…タイムオーバー…」


「帰るのか?」


「家族で食事するの。お母さんが楽しみにしてて…お父さんも仕事早めに切り上げてくるみたいだから私が遅れるわけにはいかないんだよね」


仁美は苦笑いを浮かべながら帰りの仕度をはじめた。


時計を見ると、今は午後一時…


「…早くないか?」


「お母さんが一緒にショッピングしたいんだって。

食事は六時なんだけど…ほら、女子の買物には時間がかかるから」


仁美は笑い、バッグを肩から下げた。


「じゃあ駅まで送るよ」


「大丈夫‼ここから近いし、京平に申し訳ないから」


「いや、平気だけど…」


「大丈夫って言ったら大丈夫‼

…話は、また今度ね」


「…わかった。とりあえず、下までは…」


俺と仁美は部屋を出て玄関に向かった。