俺が冷蔵庫を開けたのと同時に

ガチャン!


振り返るとつばさが慌ててシンクからグラスを拾い上げた。


「…落とした?」


「……落としちゃった」


「割るなよー」

俺は笑いながらそう言って冷蔵庫からペットボトルの紅茶を取り出した。


そして部屋に向かう。


途中、亜梨紗が起きたらしく、

「あーつばさ‼そんなことしなくていいのに‼」

という声が聞こえてきた。



部屋に入って、仁美にペットボトルを渡す。


「…なんかあったの?」

冷たい紅茶を飲んで落ち着いたらしい仁美が俺にそう尋ねた。


「なんで?」


「笑ってるから」


「え?」

慌てて口元に手を当てると確かに口角が上がっていた。それも無意識で。