「………おいっ!起きろアオイ!」



「うわっ!?」



低めのテノールボイスに、頭は夢の世界から一気に現実世界へ。



あ、おはようございます。水無月 蒼(ミナヅキ アオイ)です。



……て、違う。



「うるさいな、ミズキ!勝手に乙女の部屋に入ってくんな!」



「その言葉づかいから乙女じゃねーし。」



しれっと失礼なコトを言うコイツは、羽山 水樹(ハヤマ ミズキ)。



家が隣同士で腐れ縁という、なんともベタな関係なのだ。



昔から朝に弱かったあたしを、こうして起こしに来てくれるのは嬉しいさ。



だけど、方法ってのがあるじゃん?



何も耳元で大声出すしかないって決まりないじゃん?




「せっかくいい夢見てたのに……。」



ぼそっと呟いたあたしの言葉に、水樹はピクッと反応した。