「あなた田代千穂さんでしょ?」

声を発した主は、校内で一番目立つ先輩。

名前は何だっけ、名前よりも不名誉なあだ名で通っているその先輩。

やっぱりベタ過ぎるでしょ。

少女マンガじゃないんだからさ。

「はい。」

校舎裏に呼び出されるなんて、不愉快極まりない。

だけど、今はまだ冷静にしなきゃ。

相手の出方次第。

「保志とは、どういう関係なの?」

私が頭の中で思い描いた科白通りの言葉。

この先の展開も読める。

「幼馴染みです。」

「保志のこと好きなんでしょ?」

「一番の友人ですから。」

きっと私のこの発言ひとつひとつがこの先輩、そして先輩のうしろに控えている人たちを苛立たせていることも知ってる。

「保志に近寄らないでくれる?」