「そうですか……

優子さんは、うちの操と京都で知り合いでしたか……」



「知り合いもなにも、小さい頃から仲ようして頂いておりました。

私の父も京染めの絵師でして」



「ほう」


「東山ゆうたら、おわかりになりますでしょか」

「ほう、優子さんは、あの東山さんのご令嬢でしたか。

彼の描く、雲竜は誠に素晴らしい!

わたしも一度だけ、雲竜の留袖を手がけさせて頂いたが、手放すのが惜しい程の出来栄えでしたな」


盆を持ったまま、中の様子を伺っていると、

「華、こんただどごで突っ立って、なんとなった?」


雄蔵お父さんに後ろから声をかけられた。