『だから雪国の春は美しい』 わたしは、そう言った雄一の優しさを思う。 全てを無に帰して、覆い尽くす。 純白の雪原を思い出す。 この地に春が訪れる時。 それはどれ程の命に溢れていることだろう。 雪国の春を雄一と見てみたい。 雪解けの春を、雄一と、一緒に。 わたし達の春も、そこから始まるような気がするから。