「そうどすなぁ。 二階堂さんと結婚しなはると決めた時から、操さんは少しも笑わんようなってしもうて。 わたしもずっと気にはなっとりました。 つらかったろう思います。 健一さんと別れるのは。 そりゃもう仲の良い二人でしたから」 「健一さん?」 「操さんの恋人だったお人です。六年前に亡くなりましたけんど」 「亡くなった?」 「そうどす。突然の交通事故どした。 一応電報でお知らせはしたんどすが、操さんは葬儀には来なはりませんでした」 「六年前……」 わたしには思い当たる節があった。