角を曲がって、開けた雪原に広がっていたのは……
一面のかまくら。
大きく盛り上げた雪の山をくり貫いた、かまくらの一つ一つに灯りが点され揺らめいていた。
「あがってたんせ……」
甘酒を勧める、可愛い子供らの声。
「信じられないけど、昔、ここいらは干ばつが多くて水に困っていたんだ。
だから、あのかまくらの中には水神様が祭られてる。
これが貧しい雪国の原風景さ」
雄一の言葉に、厳しい雪国の冬のイメージが広がっていった。
わたしはこの厳しい自然と共存することができるだろうか?
できることなら……
雄一と一緒に、この雪国の春を見てみたいと思った。



