「俺はこの雪景色が好きだ。 雪は、汚い物も綺麗な物も何もかも隠して無かったことにする。 そんな雪が嫌いな時もあったけど。 でも、無かったことにする勇気も必要だって、最近は思うんだ。 だから雪国の春は美しい。 全てを無に帰して、一から始まる季節だから」 雄一が噛みしめるように話す一語一句を、聞き漏らすまいとついて行った。