「華のお母さんには、当時結婚を約束した恋人がいたらしい。

でも、結局、家の定めには逆らえず、泣く泣く東京の二階堂の家へ嫁いだんだそうだ」



「えぇ~ 考えられない。

あの、何時も冷静沈着な母に、そんな情熱的な過去があったなんて」


「だから、君のお母さんは、今の華の状況を理解してくれてるんじゃないかな」


「味方ってこと?」


「昔はおっとりしたお嬢様だったらしいよ、華のお母さん。

友禅の染め元の一人娘で、気立てのいい美人で評判だったんだって」


「まぁ、今でも美人ってとこは変わらないよ」


「お母さんにも、色々あったってことさ。

それに……」


「それに?」