何回かの呼び出し音の後、慌てたような女性の声が電話口に出た。 「はい、畠山どす」 「あ、おはようございます。華です」 「あれんまぁ、華はん、お久振りどす。 おはようさんどす。 お元気どしたか?」 「あ、すいません、こんなに朝早く。 わたし、今、秋田行きの寝台特急の中なんです。 雪で少し遅れているようなんですが、一時間遅れほどで秋田駅に着きます。 あの……、雄一さんは?」 その時わたしは、今がまだ朝の五時だということを思い出した。 わたしとしたことが、なんという慌てようだ。