二月に入り、学年末のテストが終わると、雄一はいともあっさりと秋田に帰っていった。



なんでも地元の雪祭りがあると言う。


「華も来れば?」


雄一に誘われたけど、わたしは寒いのが苦手。

生返事しているうちに、置いてきぼりにされた。


――もうすぐバレンタインだよ……、地元の祭りとどっちが大事なのさ……


雄一を追って秋田へ行こうか、と迷っていると、父に声をかけられた。


「今晩、坂本を夕食に呼んである。

二人の将来について、ここらでしっかりと話をしておこう」


父の威圧的な物言いと、その言葉の内容に背筋がゾクっとした。


店では腰の低い父だけど、家族に対しては暴君なのだ。

自分が絶対で、服従することが当然と思っている。



――逃げなきゃ……



わたしは咄嗟にそう思い立った。