「な、なんで雄一はそう強引なの?
だって、卒業したら雄一は秋田に帰って酒屋を継ぐんでしょ。
わたしだってゆくゆくは呉服問屋を継がなきゃならない。
そんな現実を目の前に突きつけられて、どうして結婚なんて呑気なこと言えるかなぁ」
今までの不安が堰を切ったように溢れ出した。
「華はそんなに俺のこと信用してなかったんだ。
俺だって俺なりに色々考えてるんだぜ。
それに酒屋は秋田に帰らなくても継ぐことはできる。
酒造りは杜氏の仕事だから、今更俺には無理なのさ。
俺の役目は、酒の販路拡大。
売れれば造れる。そんな世の中なんだよ」
そんな上手いこと行くもんだろうか……



